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Date: Mon, 16 Mar 2015 20:40:00 +0900
From: Hiroco
Reply-To: publichealthnetwork@umin.ac.jp
Subject: [PHNetwork:000286] Re: 納得できる？（医療事故調査制度）
To: publichealthnetwork@umin.ac.jp (PHNetwork)
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お返事ありがとうございました。
On 2015/03/16 16:40, Toshihide Tsuda wrote:
> 医療事故調査を特別視される理由がよく分かりません。
私は医療事故調査は特別視されるべきだと考えています。ここでいう「特別」と
は、お医者さんが偉いとか、特権階級とか、そういう意味で特別と言っているの
ではありません。
医療事故調査が特別なのは、交通事故の赤本、青本のような類型化パターン化さ
れた事例集がまだ確立されていないから、また、食中毒事故のような定型的な決
まった調査方法がまだ確立されていないからです。
航空機事故や海難事故が、乗組員の問題だけでなく、気象状況や航路や機体など
様々な複雑な要因が絡むのと同様、医療事故も医師、看護師の問題だけでなく、
患者の容体や機材、医薬品の問題、病院の状況など複雑な要因が絡んでいます。
ですから、航空機事故調査や海難審判の場合と同様、当事者や関係者に刑事免責
を与えて出来うる限り正確な証言を引き出すとともに、事故の再発防止に重きを
置くべきと考えるからです。
On 2015/03/16 16:55, Mediport wrote:
> 『当事者や関係者に刑事罰の威嚇効果が作用し事情聴取に影響
> する、正確な証言が得られない恐れがあると考えるからです。』
> こんな考えのもとに刑事裁判に利用しないという考え方自体、世間ずれ
> しています。
それは話が逆です。
Mediportさんは会社を経営していらっしゃるそうですが、もし仮に、部下が何ら
かの事故の当事者になったとして、Mediportさんの証言次第で部下の罪状が重く
なるかも知れないと仮定したら、一体どうなさいますか？
何もかも正直に洗いざらい証言するのが人の道なら、部下とその家族のことを
慮って部下の責任を軽めに証言する、あるいは、取調官に聞かれなかったことは
あえて言い出さないのも、また人の道でありましょう。世間とはそういうものです。
現に群馬大病院の事件では、病院幹部や外科教授は「知らなかった」と答えたと
報道されています。８人も続けて亡くなったのに知らなかったはずはないだろう
と推測しますが、刑事罰の威嚇効果のせいで事故調査が頓挫しているのは明らか
です。
また、これも既に述べましたが、当該の問題医師を捕らえて罰したところで、８
人もの死者を出した異常な腹腔鏡手術をどうして止められなかったのか、要因と
背景が未解明のまま残ります。では、関係者全員を逮捕して尋問すれば良いので
しょうか？
司法警察は個人の容疑を捜査して有罪の確証を得るのが職務であって、事故防止
の目的は捜査に含まれません。警察は医療事故の教訓を得ることに関心は無く、
かえって事故の全体像は闇に葬られたままかも知れません。