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Date: Mon, 16 Mar 2015 14:26:11 +0900
From: Toshihide Tsuda 
Reply-To: publichealthnetwork@umin.ac.jp
Subject: [PHNetwork:000282] Re: [PHNetwork:000281] Re: 納得できる?(医療事故調査制度)
To: publichealthnetwork@umin.ac.jp (PHNetwork)
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In-Reply-To: <550661DF.2020701@pnet.forum.ne.jp>
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皆様、
食中毒事件は、食品衛生法で調査と報告が義務づけられ、食品衛生法施行令、食品衛生法施行規則、食中毒統計作成要領、食中毒事件処理要領、で事細かに何をすべきかが事細かく定められ、その結果、誰もがその報告書を利用することができ、後々の対策の参考にもなります。また、刑事裁判にも利用されるのできちんと調査して報告するようにと処理要領などに書かれています。

しかし、薬事法、感染症法、大気汚染防止法、労働安全衛生法、地域保健法、その他諸々の類似法は、調査と報告が義務づけられていませんので、そのような報告書は利用できない方が多いです。その結果、ずっと件数が多いと思われる食中毒事件の方が、裁判が少なくなっています。調査がなされず報告書もない後者の薬害事件、感染症事件、大気汚染事件、労災職業病などなどは、多くの裁判が提起され、そして原告が立証義務を負わされています。これに対して、食中毒事件では、たとえ裁判になったとしても、報告書が用いられて原告に立証義務がありません。食中毒事件で裁判になった事例は、食品衛生法に義務づけられた調査がなされなかった、水俣病事件やカネミ油症事件など、少数に限られます。もちろん、これらの事件では原告に立証義務が負わされています。

調査がなされた方が、ある意味、あらぬ疑いがかけられた方にも負担が少なくなるのではないかと思いますが・・・。なお、調査が義務づけられていない労働安全衛生法でも、調査が義務づけられていませんが、死亡事故など、重大事故においては、労働基準監督署の厳しい調査がなされ、それなどを参考に、必要に応じて刑事告発などもなされます。ちなみにご存じのように、『安全の指標』や『労働衛生のしおり』が毎年発行され、そこで重大事故に関して私たちは調査結果を学ぶことが出来て、予防に役立てることが出来ます。ご参考になれば幸いです。
岡山大学大学院環境生命科学研究科・津田敏秀


2015年3月16日 13:53 Hiroco :

> On 2015/03/15 10:06, Mediport wrote:
>
> > 犯罪者を刑事訴追して刑務所にぶち込んだところで、被害者側は気持ちがおさまるものでしょうか?
> > 否です。だからと言って刑事訴追しないことはありませんよね。
> >
> > 今回のケースは、法にのっとってきちんと調べるべき事案です。
> > そのうえで、医療者側に責任があったかどうか判断するべきでしょう。
> > もちろん、結果として刑事責任はないとされることもあるでしょう。
>
> 殺人事件と医療事故による患者死亡は、人が死ぬという結果論は同じとしても、
> そこに至る過程と要因は全く異なります。それを一緒くたに論じるのは、いくら
> 何でもMediportさんは暴論に過ぎやしませんか。
>
> Mediportさんの論では、問題のある医師がいても、その医師が医療事故を起こし
> 患者さんを死なせるまで、何の対処もしない(出来ない)ことになりますよね。
> 加罰意識にとらわれすぎると、その様なおかしなことになってしまいます。
>
> 医療技術や医療ルールの遵守に問題のある医師がいるなら、医療事故が起きる前
> に防ぐ方法が必要です。患者の立場で医師の技能や専門性は分かりにくいとして
> も、同業の医師同士であれば互いの力量は相当に分かっているはずです。それを
> 踏まえた上で、問題のある医師が医療事故を起こす前に対処できるような制度や
> 手立てがないのが、この場合の問題点でしょう。
>
> 関係者から正確に聴取された医療事故報告書ならば、多くの反省点や教訓を汲む
> ことが出来るはずで、それらが事故を事前に防止する制度の構築に役立ち、医療
> の進歩にも貢献できるはずです。
>
> 群馬大病院の事故は、8人も亡くなるまで誰も止められなかったのだろうか?と
> いう疑問は、当然あります。新聞報道によれば、病院幹部や外科教授は「知らな
> かった」と言っているそうですが、続けて8人も亡くなっているのに院内で知ら
> れていないのもおかしなことで、よほど大学病院内部の業務体制や職制に問題が
> あったと言わざるを得ません。
>
> しかし、だからと言って、Mediportさん流に院長や教授や上司の刑事責任も問う
> なんてことになると、「ヤブ医者一人の仕業」「上司に知らせてくれれば、防げ
> た」なんて、汲むべき教訓もない陳腐な報告書しか出なくなります。
>
>
>
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皆様、
 食中毒事件は、食品衛生法で調査と報告が義務づけられ、食品衛生法施行令、食品衛生法施行規則、食中毒統計作成要領、食中毒事件処理要領、で事細かに何をすべきかが事細かく定められ、その結果、誰もがその報告書を利用することができ、後々の対策の参考にもなります。また、刑事裁判にも利用されるのできちんと調査して報告するようにと処理要領などに書かれています。

 しかし、薬事法、感染症法、大気汚染防止法、労働安全衛生法、地域保健法、その他諸々の類似法は、調査と報告が義務づけられていませんので、そのような報告書は利用できない方が多いです。その結果、ずっと件数が多いと思われる食中毒事件の方が、裁判が少なくなっています。調査がなされず報告書もない後者の薬害事件、感染症事件、大気汚染事件、労災職業病などなどは、多くの裁判が提起され、そして原告が立証義務を負わされています。これに対して、食中毒事件では、たとえ裁判になったとしても、報告書が用いられて原告に立証義務がありません。食中毒事件で裁判になった事例は、食品衛生法に義務づけられた調査がなされなかった、水俣病事件やカネミ油症事件など、少数に限られます。もちろん、これらの事件では原告に立証義務が負わされています。

 調査がなされた方が、ある意味、あらぬ疑いがかけられた方にも負担が少なくなるのではないかと思いますが・・・。なお、調査が義務づけられていない労働安全衛生法でも、調査が義務づけられていませんが、死亡事故など、重大事故においては、労働基準監督署の厳しい調査がなされ、それなどを参考に、必要に応じて刑事告発などもなされます。ちなみにご存じのように、『安全の指標』や『労働衛生のしおり』が毎年発行され、そこで重大事故に関して私たちは調査結果を学ぶことが出来て、予防に役立てることが出来ます。ご参考になれば幸いです。
                                               岡山大学大学院環境生命科学研究科・津田敏秀


2015年3月16日 13:53 Hiroco <tajima@pnet.forum.ne.jp>:
On 2015/03/15 10:06, Mediport wrote:

> 犯罪者を刑事訴追して刑務所にぶち込んだところで、被害者側は気持ちがおさまるものでしょうか?
> 否です。だからと言って刑事訴追しないことはありませんよね。
>
> 今回のケースは、法にのっとってきちんと調べるべき事案です。
> そのうえで、医療者側に責任があったかどうか判断するべきでしょう。
> もちろん、結果として刑事責任はないとされることもあるでしょう。

殺人事件と医療事故による患者死亡は、人が死ぬという結果論は同じとしても、
そこに至る過程と要因は全く異なります。それを一緒くたに論じるのは、いくら
何でもMediportさんは暴論に過ぎやしませんか。

Mediportさんの論では、問題のある医師がいても、その医師が医療事故を起こし
患者さんを死なせるまで、何の対処もしない(出来ない)ことになりますよね。
加罰意識にとらわれすぎると、その様なおかしなことになってしまいます。

医療技術や医療ルールの遵守に問題のある医師がいるなら、医療事故が起きる前
に防ぐ方法が必要です。患者の立場で医師の技能や専門性は分かりにくいとして
も、同業の医師同士であれば互いの力量は相当に分かっているはずです。それを
踏まえた上で、問題のある医師が医療事故を起こす前に対処できるような制度や
手立てがないのが、この場合の問題点でしょう。

関係者から正確に聴取された医療事故報告書ならば、多くの反省点や教訓を汲む
ことが出来るはずで、それらが事故を事前に防止する制度の構築に役立ち、医療
の進歩にも貢献できるはずです。

群馬大病院の事故は、8人も亡くなるまで誰も止められなかったのだろうか?と
いう疑問は、当然あります。新聞報道によれば、病院幹部や外科教授は「知らな
かった」と言っているそうですが、続けて8人も亡くなっているのに院内で知ら
れていないのもおかしなことで、よほど大学病院内部の業務体制や職制に問題が
あったと言わざるを得ません。

しかし、だからと言って、Mediportさん流に院長や教授や上司の刑事責任も問う
なんてことになると、「ヤブ医者一人の仕業」「上司に知らせてくれれば、防げ
た」なんて、汲むべき教訓もない陳腐な報告書しか出なくなります。